向かい風郡上市 郡上八幡駅(長良川鉄道越美南線)

郡上八幡は重要伝統的建造物群保存地区と歴史まちづくり法の国庫補助が乗る観光の街だが、郡上市の空き家率は25.3%と全国平均を大きく上回り、駅を通る長良川鉄道では「郡上八幡以北」を廃止する案が実際に検討された

郡上市の人口は2026年8月1日時点の住民基本台帳で36,315人(15,362世帯)で、1950年国勢調査の65,569人から約4割減っている。2023年住宅・土地統計調査による郡上市の空き家率は25.3%(総住宅数19,280戸に対し空き家4,870戸)、うち相続放置や長期不在にあたる「その他の住宅」が2,640戸を占める。長良川鉄道は2026年3月期に経常損失4億7,672万円と過去最大の赤字を計上し、一部廃止案として「美濃白鳥以北」と「郡上八幡以北」の2案が行政レベルで検討された(2026年1月7日の沿線5市町首長会議で当面の全線存続が決まり議論は先送り)。一方で郡上八幡北町は2012年12月28日に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、郡上市歴史的風致維持向上計画(第2期)が2024年3月18日に国の認定を受けたことで、町家の修理修景や空家利活用に国庫補助が付く枠組みが2020年代後半も続く。賃貸需要ではなく観光・移住・町家再生を軸に読むエリア。

エリアの見通し年表

2026
医療アクセスを前提にした入居者層を再確認転機

八幡病院(郡上市八幡町)が入院機能を郡上市民病院(郡上市八幡町島谷1261)へ統合し、外来中心の「八幡クリニック」として運営を始めた年(2026年4月)。八幡町内の入院医療は郡上市民病院に集約された。

2026
郡上八幡駅の利用実績と自治体負担の議論を追う警戒

長良川鉄道の存廃議論が動いた年。沿線5市町の首長会議(2026年1月7日)で当面の全線存続が決まり一部廃止の議論は先送りとなったが、社長を務める関市の山下清司市長は活性化策の結果次第で一部廃線もあり得ると述べている。2026年3月26日には廃線を想定した場合の5市町の財政負担を試算する方針が示された。

2028
空き家バンク登録数と成約実績を確認様子見

郡上市空家等対策計画(令和8年度〜令和12年度=2026年度〜2030年度)の計画期間の中間にあたる年。市は特定空家等の解消と、利活用できる空家の活用促進を計画の柱に置いている。

2030
八幡町側の取付部周辺の用地取得状況を確認進行中

濃飛横断自動車道 堀越峠道路(郡上市八幡町初納〜八幡町入間・延長5.9km・国道256号)の整備が進む時期。2023年度に新規事業化され、3本のトンネルで堀越峠のヘアピン区間を迂回する幅員8m・2車線の道路として計画されている。同じ2023年度には和良工区(郡上市和良町横野〜和良町下洞・延長約3.99km)も岐阜県事業として事業化された。

2033
その他の住宅の増減と成約価格帯を再点検警戒

郡上市空家等対策計画(令和8年度〜令和12年度)の期間終了後にあたる時期。2023年住宅・土地統計調査時点で郡上市の「その他の住宅」(相続放置・長期不在)は2,640戸あり、対策の成否が中古住宅の価格形成と流通量に表れる局面にあたる。

2045
出口戦略の再点検警戒

国立社会保障・人口問題研究所の2018年3月推計で郡上市の人口が28,618人となる年。郡上市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン【改訂版】(2020年4月1日)は、人口減少の時期が従前推計より約5年遅れた一方で20〜39歳の女性人口の減りは想定より急だと分析している。

買う理由(7

郡上八幡北町は2012年12月28日に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、町並み保存を前提とした公的支援の枠組みが続いている

郡上市歴史的風致維持向上計画(第2期)が2024年3月18日に文部科学大臣・農林水産大臣・国土交通大臣の認定を受け、空家利活用事業や修理修景事業が補助対象として続く

濃飛横断自動車道 堀越峠道路(郡上市八幡町初納〜八幡町入間・延長5.9km)が2023年度に新規事業化された

メニコンネクト郡上工場(郡上市八幡町旭)が2024年11月20日に新棟の落成式を行い、延床面積を9,326.2㎡から17,324.2㎡へ拡張した

郡上八幡は東海北陸自動車道 郡上八幡インターチェンジで名古屋圏と高速道路で直結しており、鉄道より道路の到達性が高い

郡上市は空き家等活用改修費補助金を設け、空き家バンク経由の取得・賃借に改修費の一部を補助している

長良川鉄道 郡上八幡駅の駅舎など4件が2015年8月4日に国の登録有形文化財となり、駅そのものが観光資源として扱われている

買わない理由(7

郡上市の空き家率は2023年住宅・土地統計調査で25.3%にのぼり、うち相続放置や長期不在にあたる「その他の住宅」が2,640戸を占める

郡上市の人口は2026年8月1日時点の住民基本台帳で36,315人にとどまり、1950年国勢調査の65,569人から約4割減っている

長良川鉄道は2026年3月期に経常損失4億7,672万円と過去最大の赤字を計上し、一部廃止案として「郡上八幡以北」が検討対象に挙がった

国立社会保障・人口問題研究所の推計では郡上市の人口は2045年に28,618人となり、20〜39歳の女性人口は従前推計より急に減る見通しが示されている

郡上市は立地適正化計画を策定しておらず、八幡都市計画マスタープラン(第2期・2021年4月14日変更)に居住誘導区域の線引きがない

郡上市の賃貸市場は借家1,890戸と小さく、2023年住宅・土地統計調査による賃貸空室率は18.9%

郡上市最大級の宿泊施設だったホテル郡上八幡が2024年8月1日に営業を停止し、運営会社の千虎観光が負債約5億6,000万円を抱えて自己破産を申請した

人口の未来(郡上八幡

出典: 国土数値情報 将来推計人口250mメッシュ/IPSS 令和5年推計(2020年国勢調査ベース)

駅中心から半径1km・20メッシュ(250m四方)を合算。全国・都道府県と同一基準で対比。

総人口
1,419人(2025)
2050年 59 (2025=100)
指数(2025年=100)
2020年 1101102025年 1001002030年 91912035年 822040年 74742045年 662050年 59592055年 522060年 46462065年 402070年 3535全国 71202020302040205020602070
高齢化率
42.8%
全国比 +13.2pt
= 65歳以上 ÷ 総人口
2025年 42.8%42.82030年 46.4%46.42035年 47.8%2040年 50.1%50.12045年 52%2050年 54.7%54.72055年 57.6%2060年 58.3%58.32065年 56.8%2070年 56.1%56.1全国 38.7%20302040205020602070
郡上八幡(半径1km)全国

全国は総人口が2050年に85(2025=100)まで減るのに対し、この範囲は59減少傾向) 高齢化率も全国より13.2pt高い 生産年齢人口(15〜64歳)は676人(2025)→317人(2050)。賃貸需要の担い手の厚みを測る目安。

世帯構成(郡上八幡

出典: 国勢調査(2010・2015・2020)をもとにRETTO算出

郡上市の一般世帯に占める割合。市区町村単位(駅周辺ではなく行政区全体)。

単身世帯率
26.1%2020
全国比 -11.9pt10年で +6.8pt
= 単独世帯 ÷ 一般世帯総数
全国 38.0%2010年 郡上八幡 19.3%19.32015年 郡上八幡 22.9%22.92020年 郡上八幡 26.1%26.1201020152020
夫婦と子供世帯率
21.1%2020
全国比 -3.9pt10年で -0.2pt
= 夫婦と子供から成る世帯 ÷ 一般世帯総数
全国 25.0%2010年 郡上八幡 21.3%21.32015年 郡上八幡 21.2%21.22020年 郡上八幡 21.1%21.1201020152020
郡上八幡郡上市全国

単身世帯率は26.1%と全国より11.9pt低い10年の変化は+6.8ptで、全国(+5.6pt)より単身化のペースは速い夫婦と子供世帯は21.1%と全国より3.9pt低い なお単身のうち65歳以上は13.6%(全国12.1%)。単身世帯の中身が若年層か高齢層かを見る目安。

住宅地の地価推移(万円/m²

※ 地価推移はエリア内の住宅地公示地点の中央値です。

土地価格

実勢価格
Coming Soon
実際の取引価格
公示価格(基準)
5万円/m²
2.25.1万円/m²
2025年 / 4地点
路線価
3.2万円/m²
2.35万円/m²
令和6年 / 253地点
乖離率(公示価格を100%とした場合)参考値
実勢 110%
公示 100%
路線価 64%

この街は公示価格の調査地点が4地点と少ないため、乖離率は参考程度にご覧ください。

公示価格は住宅地の調査地点のみ、路線価は住宅地・商業地の区別なく道路ごとに評価した値です。

路線価は道路ごとに異なるため、物件に面した道路の値を国税庁路線価図からPDFでご確認ください。

空き家率・賃貸空室率(郡上市

出典: 総務省 住宅・土地統計調査(2023年)

5年ごとの全国統一調査(住宅・土地統計調査)にもとづく指標。

空き家率
25.3%
実質 16.1%(別荘等を除く)
全国比 +2.9pt前回比 +3.2pt
= 空き家 ÷ 全住宅
全国 13.8%2008年 24.5%24.52013年 25.2%25.22018年 22.1%22.12023年 25.3%25.32008201320182023
賃貸空室率
18.9%
全国比 +0.3pt前回比 +4.5pt
= 賃貸の空き ÷ 賃貸全体
全国 18.6%2013年 21.0%21.02018年 14.4%14.42023年 18.9%18.92008201320182023
郡上市全国

空き家率25.3%の内訳

空き家を100%とした構成比
54%
37%
賃貸用9%その他(相続放置・長期不在)54%売却用・別荘等37%

空き家率は街全体の余り具合。内訳でその他(相続放置・長期不在)が多いほど相続放置など街の衰退サイン。

賃貸空室率は賃貸だけの埋まり具合。数値が高いほど貸しても埋まりにくい。

鑑定士のまとめ

温度感

弱含み横ばい上昇強上昇
  1. 01
    いま

    市場の特徴

    誰が、いま、どう買っているのか?

    買い手の需要層地元の店主・事業主エリア性格観光客が集まる街エリア性格昔から続く住宅街

    同一需給圏は八幡町の市街地一帯とされるが、住宅地では事例の希少性から小野地区まで範囲を広げて判定するケースがあり、市場が薄いことがうかがえる。特に価格牽連性が高いのは川南の新町地区や旧役場周辺など郡上おどりの中心部で、需要者は地元に地縁を持つ個人が中心だが、住宅地では郡上おどりを愛好する都心層、商業地では県外資本の事業者も一部流入する。インバウンドは前年比で大幅増加した一方、国内客を含めた入込客数全体は昨年とほぼ同水準にとどまり、店舗収益の改善は限定的。取引事例自体が少なく、地価水準を代表する価格帯の把握は複数の鑑定士が困難と指摘している。

  2. 02
    なぜ

    地価を動かす要因

    何が上げ、何が下げているのか?

    強み観光集客強みブランドマクロ感応性観光景気感応

    最も繰り返し言及されるのは2024年8月、市内唯一の大型ホテル「ホテル郡上八幡」の経営破綻・営業停止で、住宅地・商業地とも共通の地域要因として挙げられている。観光面ではインバウンド宿泊者数が前年比50%以上増加した一方、国内客を含めた宿泊者数全体は昨年とほぼ横ばいで推移。県全体を上回るペースの人口減少も継続的な地域要因として指摘される。伝建保存地区内の一部標準地では、地上建物が歴史的建造物指定を受けておらず取り壊し自体は可能である点が個別的要因として付記された。マクロ的な実質GDP成長への言及もあるが、地域固有の変動要因としてはホテル破綻と観光動態の影響が中心となっている。

  3. 03
    どう値付け

    値付けの根拠

    比準と収益、どちらを重視したか?

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  4. 04
    これから

    これからの見通し

    向こう数年、どこに向かうか?

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