向かい風下呂市 下呂駅(JR高山本線)

下呂温泉の宿泊者数は2025年度も100万人台を維持し、下呂市はJR下呂駅の新駅舎を令和16年度(2034年度)に供用開始する計画を掲げているが、下呂市の人口は2026年5月1日時点の住民基本台帳で27,954人にとどまり、市の人口ビジョンは2040年に約2.1万人まで減ると見込んでいる

下呂市は2004年3月1日に萩原町・小坂町・下呂町・金山町・馬瀬村が合併して発足した市で、2026年5月1日時点の住民基本台帳人口は27,954人(12,016世帯)。市の人口ビジョンは2030年に約2.6万人、2040年に約2.1万人という見通しを示している。2023年住宅・土地統計調査による下呂市の空き家率は19.7%(総住宅数13,500戸に対し空き家2,660戸)で、うち相続放置や長期不在にあたる「その他の住宅」が2,000戸を占める。借家は2,130戸と市場規模が小さく、賃貸空室率は14.5%。一方で下呂温泉の宿泊者数は2025年度に1,002,906人(前年度比+0.1%)と100万人台を維持し、下呂市は2025年10月1日に宿泊税を導入してその税収を温泉街のサイン整備・駐車場整備に充てる針を示している。下呂市立地適正化計画は2026年6月1日に公表され、居住誘導区域外での一定規模以上の住宅開発に届出義務が生じた。賃貸の実需よりも、観光・移住・温泉街の再整備を軸に読むエリア。

エリアの見通し年表

2026
検討中の物件が居住誘導区域の内か外かを区域図で確認転機

下呂市立地適正化計画の公表に伴い、2026年6月1日から届出制度が始まった年。都市計画区域内では、居住誘導区域外での一定規模以上の住宅開発・建築、都市機能誘導区域外での誘導施設の開発・建築、都市機能誘導区域内での誘導施設の休廃止が、着手の30日前までの届出対象となる。下呂市は「多極ネットワーク型コンパクトシティ」を掲げ、医療・福祉・子育て・商業などの都市機能を中心拠点と地域拠点に誘導する方針を示している。

2026
下呂駅周辺整備基本計画の対象範囲と事業内容の公表を待つ注目

下呂市が令和8年度(2026年度)施政方針で、令和16年度(2034年度)の新下呂駅舎供用開始に向けて、賑わいの創出と移動の利便性向上を目指した基本計画を策定すると表明した年。令和8年度の一般会計当初予算は231億7千万円(前年度比+6億2千万円・+2.7%)で、2004年の合併後6番目の規模にあたる。

2030
住民基本台帳人口の実績が推計線を上回っているか下回っているかを確認警戒

下呂市の人口ビジョンが市の人口を約2.6万人と見込む年。2026年5月1日時点の住民基本台帳人口27,954人から約1,900人減る計算にあたる。

2034
新駅舎の工程と濃飛横断自動車道の未着手区間の進捗を突き合わせる転機

下呂市が新下呂駅舎の供用開始を目標に置く令和16年度(2034年度)にあたる年。同じ時期に、JR東海が2024年3月に2027年開業を断念して「2034年以降」とした リニア中央新幹線 品川〜名古屋間の開業時期が重なる。リニアの岐阜県駅(仮称・中津川市)は、下呂市を通る濃飛横断自動車道の中津川工区と交差する位置にある。

2040
出口戦略の再点検警戒

下呂市の人口ビジョンが市の人口を約2.1万人と見込む年。2026年5月1日時点の27,954人から約4分の1が減る計算にあたる。2023年住宅・土地統計調査時点で「その他の住宅」(相続放置・長期不在)が2,000戸あり、この層が中古住宅の供給圧力として残る局面にあたる。

買う理由(8

下呂市は令和8年度(2026年度)施政方針で、令和16年度(2034年度)の新下呂駅舎供用開始に向けた駅周辺の基本計画を策定すると表明している

下呂温泉の宿泊者数は2025年度に1,002,906人(前年度比+0.1%)と100万人台を維持している

下呂市立地適正化計画が2026年6月1日に公表され、公的投資を集中させる誘導区域が線引きされた

下呂市は2025年10月1日に宿泊税を導入し、その税収を下呂温泉街のサイン整備・駐車場整備と宿泊施設の改修支援に充てる方針を示している

濃飛横断自動車道は下呂市内で和良IC〜下呂IC間の約8.1kmが開通済みで、東海北陸自動車道と中央自動車道を結ぶ計画の一部として整備が続いている

下呂市は移住定住支援として、住宅購入費等の助成に加えUターン者向けの「おかえり奨励金」と家賃助成を令和8年度に拡充し、移住体験ツアーを新設する

岐阜県立下呂温泉病院が下呂駅の周辺にあり、下呂市は同院を核に市立金山病院と小坂・中原・馬瀬の各診療所を連携させる方針を令和8年度施政方針で示している

下呂市は企業立地助成制度を設け、データセンターやコールセンターを含む幅広い業種の新規立地に固定資産取得額の10%以下を助成している

買わない理由(8

下呂市の人口は2026年5月1日時点の住民基本台帳で27,954人にとどまり、市の人口ビジョンは2040年に約2.1万人まで減ると見込んでいる

下呂市の空き家率は2023年住宅・土地統計調査で19.7%にのぼり、うち相続放置や長期不在にあたる「その他の住宅」が2,000戸を占める

下呂市の借家は2,130戸と市場規模が小さく、2023年住宅・土地統計調査による賃貸空室率は14.5%

リニア中央新幹線 品川〜名古屋間の開業は2027年から「2034年以降」へ延期されており、下呂へのアクセス短縮効果が見込める時期も後ろ倒しになっている

令和2年7月豪雨で飛騨川が萩原町中呂で氾濫し、下呂市内で床上浸水・半壊・全壊の住宅被害と土砂災害が発生した

新下呂駅舎の供用開始目標は令和16年度(2034年度)と遠く、2026年度時点では基本計画の策定段階にとどまる

下呂温泉の宿泊者数は2025年度に前年度比+0.1%と横ばいで、街の経済が観光の一本足に寄っている

下呂市は公共交通をデマンドバスへの転換で維持する段階にあり、路線バスの定時運行を前提にした生活動線が細っている

人口の未来(下呂

出典: 国土数値情報 将来推計人口250mメッシュ/IPSS 令和5年推計(2020年国勢調査ベース)

駅中心から半径1km・37メッシュ(250m四方)を合算。全国・都道府県と同一基準で対比。

総人口
3,399人(2025)
2050年 63 (2025=100)
指数(2025年=100)
2020年 1111112025年 1001002030年 92922035年 852040年 77772045年 692050年 63632055年 562060年 50502065年 452070年 4040全国 71202020302040205020602070
高齢化率
38.0%
全国比 +8.4pt
= 65歳以上 ÷ 総人口
2025年 38%382030年 39.5%39.52035年 41.2%2040年 44.8%44.82045年 46.5%2050年 48%482055年 49.8%2060年 54.2%54.22065年 58.8%2070年 58.2%58.2全国 38.7%20302040205020602070
下呂(半径1km)全国

全国は総人口が2050年に85(2025=100)まで減るのに対し、この範囲は63減少傾向) 高齢化率も全国より8.4pt高い 生産年齢人口(15〜64歳)は1,804人(2025)→945人(2050)。賃貸需要の担い手の厚みを測る目安。

世帯構成(下呂

出典: 国勢調査(2010・2015・2020)をもとにRETTO算出

下呂市の一般世帯に占める割合。市区町村単位(駅周辺ではなく行政区全体)。

単身世帯率
29.7%2020
全国比 -8.3pt10年で +4.8pt
= 単独世帯 ÷ 一般世帯総数
全国 38.0%2010年 下呂 24.9%24.92015年 下呂 27.2%27.22020年 下呂 29.7%29.7201020152020
夫婦と子供世帯率
17.1%2020
全国比 -7.9pt10年で -0.8pt
= 夫婦と子供から成る世帯 ÷ 一般世帯総数
全国 25.0%2010年 下呂 17.9%17.92015年 下呂 17.3%17.32020年 下呂 17.1%17.1201020152020
下呂下呂市全国

単身世帯率は29.7%と全国より8.3pt低い10年の変化は+4.8ptで、全国(+5.6pt)より単身化のペースは緩やか夫婦と子供世帯は17.1%と全国より7.9pt低い なお単身のうち65歳以上は14.6%(全国12.1%)。単身世帯の中身が若年層か高齢層かを見る目安。

住宅地の地価推移(万円/m²

※ 地価推移はエリア内の住宅地公示地点の中央値です。

土地価格

実勢価格
Coming Soon
実際の取引価格
公示価格(基準)
2.8万円/m²
2.22.8万円/m²
2025年 / 2地点
路線価
2.9万円/m²
1.83.9万円/m²
令和6年 / 205地点
乖離率(公示価格を100%とした場合)参考値
実勢 110%
公示 100%
路線価 104%

この街は公示価格の調査地点が2地点と少ないため、乖離率は参考程度にご覧ください。

公示価格は住宅地の調査地点のみ、路線価は住宅地・商業地の区別なく道路ごとに評価した値です。

路線価は道路ごとに異なるため、物件に面した道路の値を国税庁路線価図からPDFでご確認ください。

空き家率・賃貸空室率(下呂市

出典: 総務省 住宅・土地統計調査(2023年)

5年ごとの全国統一調査(住宅・土地統計調査)にもとづく指標。

空き家率
19.7%
全国比 +5.9pt前回比 +0.2pt
= 空き家 ÷ 全住宅
全国 13.8%2008年 16.7%16.72013年 18.3%18.32018年 19.5%19.52023年 19.7%19.72008201320182023
賃貸空室率
14.5%
全国比 -4.1pt前回比 -7.5pt
= 賃貸の空き ÷ 賃貸全体
全国 18.6%2013年 27.2%27.22018年 22.0%22.02023年 14.5%14.52008201320182023
下呂市全国

空き家率19.7%の内訳

空き家を100%とした構成比
14%
75%
賃貸用14%その他(相続放置・長期不在)75%売却用・別荘等11%

空き家率は街全体の余り具合。内訳でその他(相続放置・長期不在)が多いほど相続放置など街の衰退サイン。

賃貸空室率は賃貸だけの埋まり具合。数値が高いほど貸しても埋まりにくい。

鑑定士のまとめ

温度感

弱含み横ばい上昇強上昇
  1. 01
    いま

    市場の特徴

    誰が、いま、どう買っているのか?

    買い手の需要層地元の店主・事業主買い手の需要層初めて家を買う人エリア性格観光客が集まる街エリア性格昔から続く住宅街

    市場を捉える圏域は用途により異なる。商業地は旧下呂町中心部の温泉街を本来的な同一需給圏とし、需要者は宿泊施設事業者や観光関連の小売・飲食業者が中心。取引の個別性が強く中心価格帯の把握は難しいとされる。住宅地は下呂市中心部近接の既成住宅地域が中心で、需要者は市内・周辺市町村の地縁ある個人や地元事業所勤務の一次取得者層が主体。地縁的選好性の強さから郡上市八幡町・萩原町など近隣地域からも取引事例を補完している点が複数件で共通する。近年は自然災害への警戒感から、土砂災害警戒区域が広い旧下呂町を避けて旧萩原町で住宅を求める動きが指摘された。住宅地の中心価格帯は立地により土地400万~600万円前後、新築戸建2300万~2500万円前後とばらつきがあり、いずれも需要は弱含みで地価下落傾向にあるとされる。

  2. 02
    なぜ

    地価を動かす要因

    何が上げ、何が下げているのか?

    強み観光集客マクロ感応性観光景気感応

    要因の変動は用途で明確に分かれる。商業地では、インバウンド依存比率の低い観光地でも円安を背景に国内観光需要が高まっているとされ、令和5年度の宿泊客数は前年比6割増の96万人まで回復、令和6年度はコロナ前の100万人台への回復が見込まれるとの言及があり、年間変動率は+2.0~+2.2%と強含みで推移した。住宅地では、実質GDPが3四半期連続で増加するなど景気の底堅さを示す指摘がある一方、景気がやや停滞気味であることを住宅地下落の背景とする評価もあり、変動率は-0.7~-1.4%とマイナスで推移している。両住宅地の鑑定書では共通して、高山市・下呂市が令和7年10月より宿泊税導入の条例案を可決したことが地域要因として言及されており、観光振興策の動向が住宅地の評価にも波及し始めている点が特徴的だ。

  3. 03
    どう値付け

    値付けの根拠

    比準と収益、どちらを重視したか?

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  4. 04
    これから

    これからの見通し

    向こう数年、どこに向かうか?

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