追い風神戸市東灘区 住吉

住吉は阪神間の実需が支える高級住宅地で、地価も分譲価格も上昇が続く。ただし取得価格が先行しており、表面利回りは取りにくい。

神戸市東灘区の2025年地価公示(住宅地)は住吉駅周辺の42地点の中央値が37.8万円/m²で、10年前より約30%高い。ただし地価が上昇しているのは平地の駅徒歩圏で、六甲山麓の渦森台3丁目の地価は前年比-0.8%、住吉山手9丁目は-0.3%と逆方向に動いている。JR住吉駅直結のリブ住吉は2025年4月に21店舗を入れ替える全面リニューアルを終えた一方、住吉駅を中心とする半径1kmの推計人口は2025年の約4.6万人から2050年に約4.1万人へ減る見通しで、「住吉」という括りではなく坂の上か下かで判断が分かれる。

エリアの見通し年表

2026
決定内容と施設用途を確認転機

神戸市が六甲アイランド(東灘区向洋町中九丁目)の約43,700平方メートルの市有地について、文化・教育・スポーツ関連施設を条件とする貸付の優先交渉権者を2026年9月中旬に決定する予定。住吉駅は六甲アイランドへ向かう六甲ライナーの起点にあたる。

2027
六甲ライナーの乗車人員推移を確認様子見

六甲アイランドの新施設の計画内容が具体化する時期。六甲ライナーの利用が増えれば起点である住吉駅の乗降にも波及するため、動向を確認する局面。

2029
駅徒歩圏の賃料実績を確認再評価

JR住吉駅直結のリブ住吉が2025年4月にリニューアルオープンしてから4年が経過し、駅前商業の集客が周辺の賃料水準に反映されたかを実績で確認できる時期。

2030
築年帯の重なりと修繕積立金の水準を確認警戒

1995年の阪神・淡路大震災の復興期に建てられた住宅が築30〜35年に達する。東灘区は被害が大きく建て替えが集中した地域で、同世代のストックが同時期に大規模修繕や建て替えの判断を迎える。

2035
世帯数と空室率の推移を確認して保有継続を判断警戒

国立社会保障・人口問題研究所の推計ベースでは、神戸市東灘区の人口減少と高齢化が続く見通しの局面。実需の強さで支えられてきた価格が、世帯数の縮小をどこまで吸収できるかが論点になる。

買う理由(6

JR住吉駅はJR神戸線と六甲ライナーの結節点で、JR西日本の1日平均乗車人員は32,642人(2024年度)

神戸市の新築分譲マンション平均価格は2026年1月時点で7,742万円と近畿で最も高い

JR住吉駅直結の商業施設リブ住吉が2025年4月に全面リニューアルを完了した

神戸市は2020年7月から三宮周辺の314.4ヘクタールで住宅の建築を制限している

灘中学校・高等学校や甲南大学など私立の教育機関が徒歩・自転車圏に集まる

阪神住吉駅のバリアフリー化が2026年3月に完了した

買わない理由(6

住吉駅から半径1kmの推計人口は2025年の約4.6万人から2050年に約4.1万人へ約10%減る見通し

神戸市全体が人口減少局面にあり、市は人口増への転換を前提にしていない

取得価格が先行しており、賃料からの表面利回りは取りにくい

六甲ライナーの終点である六甲アイランドは人口減少と施設の老朽化を抱えている

阪神・淡路大震災の復興期に建った住宅ストックが2030年前後に一斉に築30年超となる

六甲山麓の高台住宅地は2025年公示地価が横ばい〜下落で、平地の駅徒歩圏と値動きが逆になっている

人口の未来(住吉

出典: 国土数値情報 将来推計人口250mメッシュ/IPSS 令和5年推計(2020年国勢調査ベース)

駅中心から半径1km・45メッシュ(250m四方)を合算。全国・都道府県と同一基準で対比。

総人口
46,057人(2025)
2050年 90 (2025=100)
指数(2025年=100)
2020年 1041042025年 1001002030年 99992035年 972040年 95952045年 922050年 90902055年 872060年 83832065年 792070年 7676全国 71202020302040205020602070
高齢化率
27.5%
全国比 -2.1pt
= 65歳以上 ÷ 総人口
2025年 27.5%27.52030年 29.8%29.82035年 32.9%2040年 36.2%36.22045年 37.6%2050年 38.2%38.22055年 38.1%2060年 38%382065年 37.8%2070年 37.7%37.7全国 38.7%20302040205020602070
住吉(半径1km)全国

全国は総人口が2050年に85(2025=100)まで減るのに対し、この範囲は90減少傾向) 高齢化率も全国より2.1pt低い(若い) 生産年齢人口(15〜64歳)は28,111人(2025)→21,229人(2050)。賃貸需要の担い手の厚みを測る目安。

世帯構成(住吉

出典: 国勢調査(2010・2015・2020)をもとにRETTO算出

神戸市東灘区の一般世帯に占める割合。市区町村単位(駅周辺ではなく行政区全体)。

単身世帯率
42.6%2020
全国比 +4.6pt10年で +5.7pt
= 単独世帯 ÷ 一般世帯総数
全国 38.0%2010年 住吉 36.9%36.92015年 住吉 38.2%38.22020年 住吉 42.6%42.6201020152020
夫婦と子供世帯率
25.8%2020
全国比 +0.8pt10年で -3.8pt
= 夫婦と子供から成る世帯 ÷ 一般世帯総数
全国 25.0%2010年 住吉 29.6%29.62015年 住吉 28.5%28.52020年 住吉 25.8%25.8201020152020
住吉神戸市東灘区全国

単身世帯率は42.6%と全国より4.6pt高い10年の変化は+5.7ptで、全国(+5.6pt)より単身化のペースは速い夫婦と子供世帯は25.8%と全国より0.8pt高い なお単身のうち65歳以上は12.2%(全国12.1%)。単身世帯の中身が若年層か高齢層かを見る目安。

住宅地の地価推移(万円/m²

※ 地価推移はエリア内の住宅地公示地点の中央値です。

土地価格

実勢価格
Coming Soon
実際の取引価格
公示価格(基準)
37.8万円/m²
17.756.9万円/m²
2025年 / 42地点
路線価
25.5万円/m²
17.538万円/m²
令和6年 / 1465地点
乖離率(公示価格を100%とした場合)
実勢 110%
公示 100%
路線価 67%

公示価格は住宅地の調査地点のみ、路線価は住宅地・商業地の区別なく道路ごとに評価した値です。

路線価は道路ごとに異なるため、物件に面した道路の値を国税庁路線価図からPDFでご確認ください。

空き家率・賃貸空室率(神戸市東灘区

出典: 総務省 住宅・土地統計調査(2023年)

5年ごとの全国統一調査(住宅・土地統計調査)にもとづく指標。

空き家率
10.6%
全国比 -3.2pt前回比 -0.5pt
= 空き家 ÷ 全住宅
全国 13.8%2008年 10.5%10.52013年 12.4%12.42018年 11.1%11.12023年 10.6%10.62008201320182023
賃貸空室率
14.3%
全国比 -4.3pt前回比 -2.6pt
= 賃貸の空き ÷ 賃貸全体
全国 18.6%2013年 14.2%14.22018年 16.9%16.92023年 14.3%14.32008201320182023
神戸市東灘区全国

空き家率10.6%の内訳

空き家を100%とした構成比
52%
36%
12%
賃貸用52%その他(相続放置・長期不在)36%売却用・別荘等12%

空き家率は街全体の余り具合。内訳でその他(相続放置・長期不在)が多いほど相続放置など街の衰退サイン。

賃貸空室率は賃貸だけの埋まり具合。数値が高いほど貸しても埋まりにくい。

鑑定士のまとめ

温度感

弱含み横ばい上昇強上昇
  1. 01
    いま

    市場の特徴

    誰が、いま、どう買っているのか?

    買い手の需要層資産家・富裕層買い手の需要層マンションデベロッパーエリア性格戸建中心の住宅街エリア性格マンションが建つ予定の土地

    同一需給圏は阪急神戸線・JR東海道線・阪神本線の沿線で、神戸市東部(東灘区・灘区)から阪神間諸都市に及ぶ。需要者は圏内居住者が中心だが、岡本・御影・住吉山手など住環境良好な人気エリアは富裕層や自営業者、圏外からの転入者も集める。標準地規模の土地価格は御影本町・魚崎南町など阪神沿線で2000万円台からある一方、岡本6丁目や住吉本町の高級住宅地では1億~2億円に達し価格帯の開きが大きい。灘区の六甲道・記田町・中郷町周辺ではマンション適地の新規供給が乏しく、大手・中堅マンションデベロッパーの需要が旺盛で取引価格は高値圏。商業地は岡本駅~摂津本山や御影駅前で繁華性が高いが、東灘区全体としては梅田・西宮北口に対抗できる「核」がなく、需要の強弱は地域差が大きいとされる。

  2. 02
    なぜ

    地価を動かす要因

    何が上げ、何が下げているのか?

    強みブランド強み路線多数マクロ感応性金利感応高

    東灘区は人口が微減傾向で推移するものの、利便性・住環境に優れたエリアが多く土地需要は総じて堅調とされる。低金利や住宅ローン減税延長など政策の後押しにより自用目的の需要が底堅く推移している点が繰り返し指摘される一方、山麓部や北部などアクセス性に劣る住宅地では需要が弱含みとの言及もある。灘区でも人口や取引件数は微減傾向にあるが、マンション用地に対する需要は旺盛で地価上昇を牽引している。個別的要因の変動はほぼ全地点で「なし」とされ、地価変動率は年間0.0%~+8.5%の範囲で、御影駅前や灘区のマンション適地・幹線道路沿い商業地で高めの上昇率、山手の閑静な住宅地では緩やかな上昇率が多い傾向にある。

  3. 03
    どう値付け

    値付けの根拠

    比準と収益、どちらを重視したか?

    🔒 この章は無料会員登録後にご覧いただけます

  4. 04
    これから

    これからの見通し

    向こう数年、どこに向かうか?

    🔒 この章は無料会員登録後にご覧いただけます

このエリアで、さらに見られる分析

  • 物件タイプ別の判定

    ファミリー向け・ワンルーム投資それぞれの向き不向き

  • 融資に使える金融機関

    エリアをカバーする銀行・信金と積極性

  • ハザード分析

    洪水・土砂・津波リスクと水害経験による地価補正

  • 主要駅までの所要時間・想定賃料

    通勤アクセスと賃料シミュレーション

無料会員登録してすべて見る

メールアドレスだけで登録でき、すぐに使い始められます