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10年で+87%になった有明の地価。上昇を支えたものを公的データで確かめる

有明エリアの地価推移と温度感「追い風」を示すRETTOの分析画面

RETTOチームです。今回は東京都江東区の有明を取り上げます。

先に結論です。有明の公示地価(住宅地)は、2015年の53.4万円/㎡から2025年には100.0万円/㎡へ、10年で+87.3%上がりました。RETTOの温度感は「追い風」です。効いているのは大型施設の開業が続いていることと、マンション用地を求めるデベロッパーの需要で、注意したいのは全域が埋立地であることと、賃料が地価に追いついていないことです。

なお、9月にニュースになった基準地価は7月1日時点、この記事で使う公示地価は1月1日時点の、別々の調査です。この記事の数字は公示地価にそろえています。

数字で見る有明

RETTOの有明エリアの地価は、有明と周辺(東雲・豊洲・辰巳)にある住宅地の公示地価4地点の中央値です。年ごとに並べます。

  • 2015年: 53.4万円/㎡
  • 2020年: 72.6万円/㎡
  • 2021年: 73.0万円/㎡(コロナ期はほぼ横ばい)
  • 2024年: 88.0万円/㎡
  • 2025年: 100.0万円/㎡(直近1年で+13.64%)

10年の変動率は+87.3%。RETTOが集計する310エリアのうち、3番目の高さです! 310エリアの中央値は+13.3%で、上位5エリアは10年で上がった街TOP5の記事にまとめています。上げ幅は直近ほど大きく、2024年が+8.0%、2025年が+13.64%でした。

この推移とは別に、江東区内の公示地価30地点分の鑑定評価書(2025年)も読みました。30件のうち22件で、主な買い手としてマンションデベロッパーが挙がっています。湾岸ではマンションを建てられる土地が少なく、用地の取得競争が続いているという見立てです。

追い風要因

ひとつめは、大型施設の開業が続いていることです。2025年10月3日には有明に近い青海でTOYOTA ARENA TOKYO(収容約1万人)が、2026年3月27日には有明でテレビ朝日の東京ドリームパークが開業しました。2020年に開業した商業施設の有明ガーデン(200店超)とあわせて、買い物やイベントの場が街の中と周辺にそろってきています。

ふたつめは人口です。2025年の国勢調査で、江東区の人口は5年で+5.6%増えました(東京23区全体は+2.2%。国勢調査2025の記事参照)。鑑定評価書でも、区の人口と世帯数の増加が不動産の需要を下支えしているという指摘がありました。

この先の節目は、東京メトロ有楽町線の延伸(豊洲〜住吉)です。2024年11月に着工し、2030年代半ばの開業を目指しています。有明に新しい駅ができる計画ではありませんが、江東区の鑑定評価書では複数の地点で、地域の変化として挙げられています。

注意したい点

まず、地盤です。有明は全域が埋立地で、首都直下地震では液状化やインフラの損傷が起きるリスクがあります。物件ごとに東京都の液状化予測図や江東区のハザードマップで確かめることが前提になります。

次に、賃料です。鑑定評価書では、臨海部の商業地を中心に、賃料の上昇が地価に追いつかず、賃料から逆算した価格(収益価格)が取引事例から求めた価格(比準価格)を下回る、という指摘が12件ありました。地価が先に上がった分、収益物件として見ると利回りは低くなります。

そして金利です。30件のうち20件以上で、日銀の利上げや住宅ローン金利への言及がありました。湾岸のタワーマンションは価格帯が高く、変動金利での購入が多いとされるため、金利の動きを受けやすい市場です。

交通面では、有明に地下鉄の駅はなく、りんかい線とゆりかもめが足になります。東京駅や品川駅へは乗り換えが必要です。

物件タイプ別の需要の厚み

RETTOの判定は、ファミリー向けが「厚い」、ワンルームが「様子見」です。

ファミリー向けは、小中一貫の有明西学園、がん研有明病院、有明ガーデンが街の中にそろい、子育て世帯が暮らしを域内で完結しやすいことが厚みの理由です。

ワンルームは、東京ビッグサイトや大学のキャンパスに関わる単身需要があるものの、街の住宅はタワーマンションが中心で、単身向けの物件そのものが多くありません。物件価格が上がった分、表面利回りも低めにとどまる、というのが「様子見」の理由です。

見方を見直すシグナル

追い風の前提が崩れるとしたら、見ておきたいのは3つです。首都直下地震で液状化の被害が実際に出たとき。日銀の政策金利が2%を超える局面。そして、アリーナや劇場の集客が計画を大きく下回ったときです。

だから有明は「追い風」

RETTOの有明の温度感は「追い風」です。10年で+87.3%の地価、施設の開業と区の人口増、デベロッパーの用地需要がそろっているためです。ただ、これまで上がってきたことは、これからも上がることを意味しません。埋立地であることと、賃料が地価を追いかけている状態は、この街を見るときの前提として残ります。

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公開: 2026年10月26日