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10年で+238%の街はどこか。「5年連続上昇」のニュースを310エリアで数えなおす

310エリアの公示地価10年変動の分布と上位5エリアを示した概念図

RETTOチームです。今回はひとつの街の深掘りではなく、310の街をひとつの物差しで見わたします。この9月に公表された2026年の基準地価(都道府県地価調査)は、全国平均で5年連続の上昇でした。

「地価は上がっている」という見出しを見たとき、その次に何を確かめていますか。エリアを検討している方ほど、全国平均のひとことと、目の前の街の値動きとの距離が気になるはずです。

そこで、RETTOに収載している公示地価(住宅地)の系列で、2015年から2025年までの10年変動を計算してみます。最大は +238%。いっぽう中央値は+13.3%で、マイナスの街も64ありました。「上昇」というひとつの言葉の中に、3.4倍になった街から下がった街までの幅が収まっています。平均の数字だけを眺めていても、この幅は見えません。

この記事では、11年分の系列が揃う310エリアをすべて同じ式で計算しなおし、上昇率が高かった5つの街を、それぞれの温度感とあわせて整理しました。

10年で上がった街TOP5

このランキングの母集団は、RETTOがエリア分析を公開している311エリアのうち、2015年と2025年の両方の公示地価が揃う310エリアです。全国のすべての街を対象にした順位ではありません。

| 順位 | エリア | 10年変動 | 2015年→2025年(万円/㎡) | 直近1年 | RETTOの温度感 | |---|---|---|---|---|---| | 1 | 堀江(大阪市西区) | +238% | 25.6 → 86.5 | +8.4% | 追い風 | | 2 | 栄(名古屋市中区) | +93% | 53.8 → 104.0 | +1.0% | 追い風 | | 3 | 有明(東京都江東区) | +87% | 53.4 → 100.0 | +13.6% | 追い風 | | 4 | 高輪(東京都港区) | +77% | 117.0 → 207.0 | +16.3% | 中立 | | 5 | 晴海(東京都中央区) | +75% | 97.5 → 171.0 | +17.1% | 向かい風 |

表から気づくことが2つあります。1位と2位の差がとても大きいこと。そして、上位に入っていても温度感は「追い風」ばかりではないことです。4位の高輪は中立、5位の晴海にいたっては向かい風です。この違いこそ、ランキングの読みどころだと私たちは考えています。

「基準地価」とこの表の数字は、別のものさし

はじめに誤読を防ぐ整理をひとつ。ニュースで報じられる基準地価は、都道府県地価調査の価格です。都道府県が毎年7月1日時点で調べ、9月に公表します。2026年発表分なら、2026年7月1日時点の価格です。いっぽうこの記事の表と、RETTOのエリアページに載せている系列は、国が毎年1月1日時点で公表する公示地価(住宅地の代表地点)で、最新は2025年です。調べる主体も、時点も、地点も違う2つの統計なので、「基準地価が+◯%だったから、この表と足し引きできる」という読み方はできません。基準地価のニュースで「地価」に目が向くいま、手元の10年系列で個別の街を確かめてみる — この記事はそういう位置づけです。

計算はシンプルで、変動率 = 2025年の値 ÷ 2015年の値 − 1。この式を310エリアすべてに同じように当てています。結果の分布は、上昇が245、下落が64、横ばいが1。中央値は+13.3%でした。

上位5つの街のいま

1位 堀江(大阪市西区)+238%

2015年に25.6万円/㎡だった代表地点が、2025年には86.5万円/㎡。10年で3.4倍という、310エリアで飛び抜けた伸びです! 直近1年も+8.4%と上昇が続いています。背景には都心回帰の住宅需要とタワーマンションの供給、そして2031年開業予定のなにわ筋線があります。西本町駅(仮称)の周辺では本格工事が進んでいて、RETTOの温度感は「追い風」です。

2位 栄(名古屋市中区)+93%

53.8万円/㎡から104.0万円/㎡へ。名古屋都心の再開発を背負う街で、2026年6月にザ・ランドマーク名古屋栄(41階)が開業し、11月には久屋大通駅直結の錦三丁目5番街区が続きます。温度感は「追い風」です。ただし直近1年の変動は+1.0%と、10年の勢いにくらべて足元は落ち着いています。10年の累計と足元の1年は別の物差しとして見る必要がある、という好例です。

3位 有明(東京都江東区)+87%

53.4万円/㎡から、2025年にちょうど100万円/㎡に乗りました。TOYOTA ARENA TOKYOが開業し、2026年3月には東京ドリームパークが続くなど、エンタメ施設の集積が進んでいます。直近1年も+13.6%。有楽町線の延伸(豊洲〜住吉)は2035年開業予定とまだ先が長いものの、温度感は「追い風」です。

4位 高輪(東京都港区)+77%

117万円/㎡から207万円/㎡へ。TAKANAWA GATEWAY CITYが本格始動し、品川駅西口の再開発が2032年ごろまで連なります。それでもRETTOの温度感は「中立」です。水準がすでに高く、金利の影響を受けやすい価格帯に入っているためで、追い風と向かい風の両面は7月の個別分析で詳しく書いています。

5位 晴海(東京都中央区)+75%

97.5万円/㎡から171万円/㎡。直近1年は+17.1%と、実は上位5つの中でいちばん高い伸びです。それでも温度感は「向かい風」です。HARUMI FLAGの転売在庫に、2027年の豊海タワー(2,046戸)の入居が重なり、供給の消化が追いつかない懸念があります。金利の上昇も、高額帯には逆風です。10年で上がった街と、これから追い風の街は、同じではありません。晴海は、その区別をいちばんはっきり教えてくれる街です。

ランキングの読み方の注意

この表を使うときに、押さえておきたい前提が3つあります。

  • 順位は「住宅地の代表地点の公示地価・10年累計」というひとつの物差しにすぎません。同じ街でも、地点や用途(商業地など)が変われば数字は変わります
  • 10年の累計は過去の記録であって、これからの見通しではありません。高輪と晴海の温度感がその例です
  • 本文に出てくる再開発や路線の開業年は現時点の予定で、今後変わることがあります

そのうえで書き添えると、この幅の大きさこそ、平均のニュースだけでエリアを語れない理由です。

「平均のひとことで終わらせず、街ごとの11年分の系列をそのまま確かめられる状態にしておく」

RETTOのエリアページは、その置き場所として作っています。

気になる街の11年分を、確かめてみてください

310エリアの順位よりも、あなたが検討しているひとつの街の11年分のほうが、判断の材料としてはずっと役に立ちます。この記事で使った公示地価の系列は、各エリアのページ(例: 堀江、晴海)でグラフとして公開していて、エリアページはログイン不要・無料で見られます。鑑定評価の要約の全文や物件タイプ別の判定といった続きは、無料会員登録で見られます(登録も無料です)。

「この街の順位も知りたい」「別の切り口でも数えてほしい」という声は、お問い合わせフォームから気軽に送ってください! 最終的な投資判断は、いつもどおりあなた自身に委ねます。RETTOが用意するのは、どの街にも同じ物差しを当てた数字までです。

公開: 2026年9月25日