中古区分マンション、購入前に確認したい 12 の観点(初期スクリーニング編)

RETTO チームです。今回は、物件探しの最初の関門 — 初期スクリーニングの話を書きます。
投資用の中古区分マンションを探していて、ポータルサイトで気になる物件を見つけたとき、内見や問い合わせの前に何をどこまで確認していますか?価格、表面利回り、駅徒歩、築年 — 目に入りやすい数字だけで「良さそう」と感じて、次の行動に進んでいないでしょうか。
見た目の数字は、ときどき大きく裏切ります。たとえば管理費と修繕積立金です。価格 700 万円・賃料月 7 万円なら、表面利回りは 12%。ここで管理費と修繕積立金の合計が月 2.4 万円だとすると、年間で約 29 万円 — 価格に対して 4 ポイント強が、この 2 つだけで消えます。表面 12% が、固定資産税や賃貸管理料を引く前から 8% を切る計算です! こうした「あとから効いてくる観点」は、マイソクの目立つ位置には書かれていません。
そこで今回は、RETTO の「物件レンズ」が初期スクリーニング — つまり有望な物件を探しはじめる前に、条件の合わない物件を早めに候補から外す工程で見ている観点を、12 個に整理しました。どれも、マイソクと登記簿、公開されている統計から確認を始められるものです。
建物と権利を見る 5 つの観点
まずは物件そのものです。ここは登記簿や重要事項説明で確認できる、動かしがたい事実の領域です。
1. 新耐震基準か
1981 年 6 月の建築基準法改正より後に建築確認を受けた、いわゆる新耐震の建物かどうかです。旧耐震は地震リスクが高いだけでなく、融資がつきにくいという実務上の壁もあり、物件レンズでは足切り級の観点に置いています。
2. 接道と再建築の可否
建築基準法上、敷地は原則として道路に 2m 以上接している必要があります。これを満たさない物件や極端に狭小な敷地は、再建築ができない恐れがあります。再建築不可は、出口で売りにくい・融資が出にくい・建て替えられない、と不利が重なりやすい類型です。
3. 専有面積が 16.5㎡(5 坪)以上か
初期スクリーニングでは、専有面積 16.5㎡ を下限の目安に置きます。これを下回る極小ワンルームは、都心駅近で表面利回りが高く見えても、入居付けに苦労しやすい類型だからです。注意したいのは面積の測り方で、広告に載る壁芯面積は登記簿の内法面積より広めに出ます。境界線上の物件は登記簿で確認したいところです。
4. 築年数が 50 年を超えていないか
RC 造は理論上は 100 年もつと言われますが、融資の年数や修繕の計画は、それより短い時間軸で動きます。初期スクリーニングの目安は、築 30 年以内が理想、40 年までは許容、50 年超は要注意です。築 40 年を超える物件では、修繕積立金の残高や大規模修繕の履歴もあわせて見ておきたいところです。
5. 所有権か借地権か
借地権の物件は、所有権に比べて価格が低めに出るのが一般的です。その分、売却時に名義書換料がかかる場合があるなど、出口に固有の論点があります。安さには理由がある、という典型例です。残存期間や地代の条件まで確認してから判断したい観点です。
立地と需要を見る 3 つの観点
次は場所です。部屋がどれだけきれいでも、借り手が現れない立地では収支が組み立ちません。
6. 賃貸需要の 3 条件
駅徒歩 10 分以内、コンビニやスーパーが徒歩圏、都心への通勤圏 — 物件レンズはこの 3 条件をセットで見ます。借りる人は買う人よりも利便性を重視するため、1 つ欠けるだけでも客付けの難易度が上がる、という考え方です。
7. 単一の企業・大学に依存した地域でないか
近くに大きな工場や大学が 1 つあり、その需要をあてにできる — 一見すると追い風要因に見えますが、撤退や統合、キャンパス移転が起きると需要ごと消えてしまいます。雇用や学生の受け皿が複数あるエリアのほうが、構造として粘り強いという観点です。
8. 地域の空き家率が全国平均を大きく超えていないか
地域の空き家率を、総務省の住宅・土地統計調査のデータで全国平均と比べます。物件レンズでは、全国平均を 5 ポイント以上上回る地域を、供給過剰のシグナルとして扱っています。感覚の「人気エリア」ではなく、統計との比較で判断するための観点です。
収支の構造を見る 3 つの観点
3 つめのグループはお金の流れです。冒頭の「表面 12% が 8% を切る」のように、ここは見落としのダメージが最も大きい領域です。
9. 管理費 + 修繕積立金が賃料の 30% 以下か
毎月の管理費と修繕積立金の合計を、月額賃料で割ってみてください。物件レンズの目安では 20% 以下が健全、30% を超えると構造的な問題で、表面利回りがどれだけ高くても実質利回りの確保が難しくなります。割り算 1 回でできる確認としては、効き目が大きい観点です。
10. 立地のランクと表面利回りのバランス
高い利回りは「儲かるサイン」ではなく、まず「何かが隠れているサイン」として読む — 初期スクリーニングで最も大切にしている考え方です。立地の格が下がるほど、同じ利回りでもリスクは上がります。物件レンズでは、あなたが選ぶ立地ランク(都心・都市圏・中核市・地方の 4 段階)と表面利回りの組み合わせで警戒ゾーンを判定し、高すぎる利回りには「理由の確認」を促します。
11. 実質利回りが 8% 以上か
表面利回りから、管理費・修繕積立金・固定資産税・賃貸管理料・保険料・空室の影響を差し引いたものが実質利回りです。物件レンズはこの経費控除後の利回りを自動で計算し、8% 以上を良好の目安に、6% を下回る水準は収支がほぼ回らないシグナルとして扱います。表面の数字がどれだけ立派でも、最後に手元へ残るのはこちらの数字です。
最後に、履歴の観点
数字の表からは見えにくい 1 つです。
12. 事故物件・告知事項に該当しないか
事故物件は価格が下がる一方、入居付けも売却も難しくなります。気をつけたいのは告知の範囲で、説明されるのは原則、事故のあった住戸についてです。隣室や階下で起きたことまでは説明されない場合があるため、仲介への直接の確認と、公開情報との照合を重ねることをおすすめします。
物件レンズでの扱い — 自動で見る 7 つ、まだ見られない 5 つ
RETTO の「物件レンズ」は、こうした観点を 1 つずつ収録し、物件情報とエリアデータで判定できるものを自動でチェックする機能です。
基準は先に決めておき、判定はあなたの物件のデータで行う
そんな役割分担を意識して設計しています。この 12 観点のうち、現在自動で判定できるのは 7 つです。
- 物件情報から: 新耐震基準、接道と再建築の可否、管理費 + 修繕積立金の比率、所有権か借地権か、経費控除後の実質利回り、立地ランクと表面利回りのバランス(立地ランクは 4 段階からあなたが選びます)
- エリアデータから: 地域の空き家率の全国平均との比較
残りの 5 つは、正直にいうとまだ自動判定に載せられていません。コンビニまでの距離や周辺の雇用の顔ぶれ、事故の履歴のように、体系的なデータを用意できていない観点だからです。データの裏付けなしに「問題なし」と表示するほうがよほど危険だと考えて、揃うまでは判定の対象から外しています。この記事に 12 個すべてを載せたのは、自動で見られない観点こそ、内見や重要事項説明の場であなた自身の目で確かめてほしいからです。
気になっている物件で、試してみてください
いま検討中の物件が 1 つでもあるなら、マイソクを手元に置いて、この 12 個を上から順になぞってみてください。5 分もかからずに、聞くべき質問がいくつか手元に残るはずです! RETTO をお使いの方は、物件を登録すると物件レンズが自動判定分をチェックするので、答え合わせにどうぞ。なお、物件レンズを含む RETTO の機能は、Waiting List にご登録いただいた方に公開しています。
これらはあくまで最初の足切りのための目安であり、例外も地域差もあります。最終的な投資判断はあなた自身に委ねられています。RETTO は判断材料を整理する立場です。「この観点もレンズに欲しい」「この判定は違和感がある」といった声は、お問い合わせフォームから送ってください。